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Dr.Bruce Stewart-Brown,DVM,ACPV
Fort Dodge Animal Health
IBDの生ワクチンを選ぶ場合、次の4つの基準がある。
ワクチンと野外株の血清型が近いか、ワクチンが広い範囲のウイルスに対して交差防御する能力があるかということが重要である。
A)血清型を決めるのには少なくとも以下の3つの方法がある。
a)中和交差
b)モノクローナル抗体
c)分子生物的分析
分子生物学的分析を中心に他の方法についても述べる。
a)中和交差
中和交差試験は、最も良い方法ではあるが費用と時間がかかる。
中和交差試験結果では、バーシン2は血清型1の標準タイプに入る。
世界中のほとんどの株は同様に血清型1の標準タイプに分類される。b)モノクローナル抗体による方法は、私は少々疑問を持っているが、バーシン2はこの試験では従来型に分類される。
c)分子生物学的手法による分類は、次の3つのグループによって盛んに行われている。
Daral Jackwood オハイオ大学
Nakamura and Lin 日本
Joe Giambrone オーバーン大学ここでは、とくにオハイオ大学のデータを紹介する。
この方法では、制限酵素による逆転写PCR法(RT/PCR-RE)が使われる。そして、IBDウイルスの遺伝子のVP2領域に注目した。
PCR法とは、このVP2領域を制限酵素によって切断し、その切断パターンの違いによって、ウイルスを分類する方法である。ここで実際の報告をお見せする。

この試験では制限酵素はBstN1を使用した。表の上の6つはワクチン株であり、その他の株は世界各地の野外からの野外株である。
このBstN1による切断像は、血清型の違いを見るのに特に重要である。
上の3つのワクチンは全く同じパターンを示している。この3つは異なる株であるが、血清型は同じである。バーシン系のワクチンは、この3つとは異なる一つのパターンをしめす。次に世界の野外株のパターンを見ると、それらの多くはバーシン系と同様のパターンをしめしている。このことから、このバーシンのパターンは広い交差防御をしめすことがわかる。現在日本の株についてもどのようなパターンを示すのか研究中である。
昨年アメリカで分離した株の85%は同じパターンをしめした。
我が社では、これらの株を6ヶ月後に再度分析して、野外株がどのぐらい安定したのなのかを調べている。
このVP2とこの制限酵素を用いた分析では、血清型の部分をみており、病原性についてはみていない。病原性に関する制限酵素による研究は主に日本で行われている。病原性と血清型の両方を用いて分析すればさらに有用であると思う。
A)移行抗体があっても働くのに十分な強さ
B)免疫器官に対して長く影響しないようなマイルドさが求められる。
IBD生ワクチンの病原性を分類するのに6つの基本的な指標を用いる。
a)F嚢損傷スコア(組織学的)
b)移行抗体に対する能力
c)抗体反応
d)F嚢/体重比(F嚢のサイズ)
e)ワクチンによる免疫抑制
f)接種反応の程度


6つの基準を並べて、マイルドからストロングまで見ると、図のようになる。
従って、F嚢の損傷は少なく、高い移行抗体があっても働くというようなワクチンは信じがたい。これによってワクチンを分類すると、例えばバーシン2は中間に位置し、まさに中間毒ワクチンであり、ホットワクチンはこの辺りでまっすぐ下へのラインとなる。あるホットワクチンがF嚢の損傷は大きいが免疫抑制は少ないというようなことは有り得ない。皆さんが利用可能なワクチンがこの表のどこに位置するかを考えれば、そのワクチンをよりよく理解できるであろう。
F嚢の損傷についてもう少し述べたい。コンピューターを使用したイメージングシステム-リンパ組織を評価するためのコンピュータの利用についてのべる。
この方法では、HE染色したスライドと顕微鏡とコンピュータを使用して、F嚢の損傷度合をコンピュータに判断させる方法である。
・HE染色した2つのF嚢
HE染色はリンパ球を紫色に染める。この2つのF嚢はサイズは同じぐらいだが左の方が色が濃い。
これをコンピュータを使って分析する。
左側の拡大写真です。これを白黒にし、色の濃い所を認識させリンパ組織が何%残っているかをコンピュータに測定させる。この場合はリンパ組織のところが黄色になっており、リンパ組織は55%ある。もう一つのF嚢はダメージを受けたものであり、紫の部分が少ない。26%のリンパ組織しか残っていない。この方法は、早く正確にF嚢のダメージの度合いを定量できる。
ワクチンによる影響をみる前に、SPF鶏を使って正常な値を知っておく必要がある。通常45~60%の範囲になる。

次にワクチンによる損傷曲線をしめす。7日齢のレイヤーでバーシン2、ホットワクチン(バーシンプラス)、さらに強いワクチン(サノフィIBDブレン)を使って試験した。横軸にはワクチン接種後の日数を示した。

対照区(ワクチン無し)は50%前後の値をしめしている。バーシン2は3日後に少し損傷が見られ、7日後にはさらに損傷がみられるが14、21日と進むうちに回復している。私はいつもバーシン2は半分から3分の1の損傷を起こすと言っているが、これは正常なものが50%とすれば7日後で35%となっているのでおよそ半分から3分の1の損傷といえる。バーシンプラスでは、さらに損傷は大きいが21日後にはほぼ回復しているので良いと思う。サノフィのワクチンでは投与後すぐに損傷が起こり、最後まで回復しない。これは本当のホットワクチンである。
この方法を使えば、ワクチンによってどのくらいF嚢にダメージがあり、どのくらい回復するのかということを理解するのに有効である。
IBDワクチンは柔軟な投与方法が使える。
IBDワクチンウイルスは飲水の中で長く生きる。
スプレー投与ができる。散霧も可能。
全ての鶏が飲んだかどうか注意することが最も重要である。そのためにブルーダイを使うのが良い。

ホットハウスは強毒IBDのチャレンジがあることを意味し、クールハウスは弱いIBDがあることを意味する。
1985年の会合で生産者と談話から得られたこと
一般的な傾向として、IBDの野外発生のある地域のブロイラーハウスでは、最初のワクチンは大きな効果は示さない。2回目のワクチンではやや効果が現れ、3回目のワクチンで最も効果が現れるとのことであった。このことから、ワクチンは鶏舎の環境に影響を与えるといえる。
このコンセプトを示す3つの試験がある。北アイルランド、イギリス、アメリカで行った。
北アイルランドの結果は1992年の鶏病専門誌「アビアン・パソロジー」に載っている。
鶏舎を4つのグループに分けて、それぞれのワクチンプログラムは以下のようである。
A 5回共ワクチン無投与
B 1回目にワクチン投与、それ以降は無投与
C 最初の2回はワクチン投与、それ以降は無投与
D 最初の3回はワクチン投与、それ以降は無投与
結果はグラフのようになった。数字は一年間の成績をこの農場の平均と比較した値である。A区ではあまり違いはなかった。他の区ではIBDワクチンを投与したこの年には前年よりも成績が向上した。重要なのはワクチンを投与した時だけでなく、その後のワクチンを投与しなかった群でも成績の向上がみられたということである。ワクチンを使用すれば、すぐには結果がでなくても1年間を通してみれば効果が出てくる。
イギリスでの試験では、IBDワクチンを使用した群と使用しない群でIBDによる斃死率を比較した。1回目はワクチン投与区が4%、無投与区が8%と差が出た。2回目でワクチン投与区はさらに斃死率が下がったが、無投与区でも下がった。これは、ワクチンウイルスが農場全体に影響を及ぼしたと考えられる。
アメリカでの試験では、F嚢の損傷についてみた。
中間毒ワクチンを3回投与してIBDの問題のあった農場で行った。
試験のワクチン投与は表のようである。我々は、ここで先ず野外のホットな株をストロングなワクチン株に置き換え、それからマイルドなワクチン株に置き換えることを試みた。
イメージングシステムを使ってリンパ組織の状態を調べた。2週齢まではよい状態であったが3週齢以降損傷があり、その後回復傾向がみられた。5回の傾向をみると7、14日齢では、変化は見られないが、21日齢と40日齢では上昇する傾向が見られた。
これら3つの例から、ワクチンが影響するには時間がかかることがわかる。
考え方としては、ホットな常在株をストロングなワクチン株に置き換える。それから、ストロングなワクチン株を今度は中間毒のワクチン株に置き換える。そして、その中間毒ワクチン株を新しい常在株にする。
我々はストロングなワクチン株を使わずに、直接中間毒のワクチンウイルスに置き換えることも試みた。しかし、それは単一日齢の農場でも清掃・消毒を行い、空舎期間を長くあけないと非常に難しい。
多齢型の混合飼育農場では、ストロングなワクチン株を使って徐々に変えていかないと難しい。
今問題なのは、ワクチンは血清型の変異を起こすかということである。これは重要な問題である。
私が思うには、おそらく、野外株はワクチンによる防御から逃れて変化しようとする。ワクチンの防御が狭いというのは、野外株が変化するからであろう。
分子生物学的な分析を現時点と6ヶ月後に行うことによって、わかったことは、ワクチンウイルスは非常に安定していて、血清型を変えることはないということである。例えば、バーシン系の3つのワクチンは製造過程は異なるが、いずれも同じ血清型に入っている。
ワクチンは病原性を変化させることが可能か。これももう一つの重要な問題である。一般的にワクチンは、野外株を弱くするという現象が見つかっている。これは、ホット・ハウスをクール・ハウスにすることに関係している。
ワクチン株が常在株になるということに関しては難しい問題で、さらに研究する必要があるが一つの考え方である。
このホットハウス→クールハウスの考え方は、鶏の他の細菌やウイルスにも当てはめることができる。
例えばMGには強い株から弱い株までいろいろあり、その中でF株は強い野外株を置き換えるのに使われている。とくに新しい概念ではない。この考え方は他のウイルスにも使える。これは競合排除法(CE法)と同じ考え方であり、最初に住みついたものが後から来たものを排除する。
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